製品の選び方

防災グッズにロープは必要?使い方や結び方がわからない場合は何から手をつけるべきか?

ロープは防災グッズとして必要なものか?

防災グッズのセット品など当然のように入っているロープ。皆さんも「なんとなく防災用品っぽいけど、5~10mのロープが1本・・・。これはどう使うんだろう?」と思われたのではないでしょうか。

結論から書けば、被災後の復旧活動時には必要性は高まります。逆に災害直後では、とっさにロープを取り出して運用する事が一般人にとってはハードルが高く、防災グッズとしての持ち出し優先度は低くなると思われます。

ロープ自体の用途としては救助活動用、緊急脱出用、安全確保用などが挙げられますが、その前提としてロープの結び方や運用方法について経験がある方に限られます。特に高所からの脱出をロープ一本でやりきれる方はそう居ないでしょう。

上記は自衛隊が公開しているロープワークの動画ですが、このように結び方・運用方法を事前に把握していないとロープの活用幅は狭まってしまいます

ロープワークはYouTubeで既に多くの方が解説されており、いくつか覚えておくだけでも被災時の生活や復旧活動に役立てることができます。

ただし、代表的なロープワークを覚えたとしても、救助活動や緊急脱出のような高度なロープ運用にはさらに習熟が必要かと思いますのでここでは触れません。

ロープはブルーシート等と組み合わせて運用

いくつかのロープワークを覚えたての一般人にとっては、ロープ単体での運用よりも、ブルーシート等の資材と組み合わせて運用するほうが防災面を強く意識できると思います

例えばブルーシートにはシートの端にロープをくくりつけられるハトメがついています。ここに細めのロープを通して固定することで以下のような用途があります。

  • 日差しよけ
  • 雨漏り対策
  • 浸水対策
  • 風雨の吹き込み防止
  • 視線を遮ってプライバシーの確保
  • 間仕切りの作成
  • 簡易テントの作成

ブルーシートは多目的に使える反面、台風シーズンなど強風が出てる時期にシートを張ってしまうと凧のように風を強く受け止めてしまい、最悪、ロープで結んであるポールなどを破壊してしまうトラブルに繋がりますので、補強状況の確認や取り扱いにはご注意ください。

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上記はブルーシートの製造企業としてメジャーな萩原工業株式会社の高品質なシートですが、製品ラインナップは想像以上に豊富です。

シートの品質と量については予算や防災計画に応じて調整することになると思いますが、シートの枚数に関しては前述の用途例を考えて3~5シートあれば良いと思います。

萩原工業製でもより安価なブルーシートが販売されており、その際には「#3000」といった厚手のものを選びましょう。#1000や#2000といった型番はシートの厚さが薄く、耐久性も低めです。

ブルーシートを固定する重しになる土のう袋

ブルーシートと土のう袋をロープで結ぶ組み合わせは、地震や台風で被害を受けた屋根の応急処置として見かけた方も多いのではないでしょうか。

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ブルーシートを固定しようとして、周辺にフェンスやポールなど手頃な取り付け先がない場合は土のう袋に20~30kgの砂を入れてロープで縛り、ちょっとの風では飛ばされないように固定します。土のう袋を追加すれば耐風性が向上します。

参考までに丹波市消防本部が住民向けに解説した動画をYouTubeで共有されてましたので以下に紹介いたします。

土のう袋を完成させた後、ロープを取り付ける操作はエスエス産業株式会社が解説している『災害時に役に立つロープワーク』も併せてご確認ください。

防災向けロープの選び方

カラビナやナスカン付きで作業性UP

下記のように両端にカラビナやナスカンといった金具がついているタイプだと、ロープの結び方を知らなくても、ほどける事なく繋ぎ止めることができます

金具だけ買ってロープ両端に『もやい結び』などの結び方で自作しても良いでしょう。
人命救助みたいな用途でなければ登山用の本格的な1つ1000円以上するカラビナを買う必要はなく、ステンレスカラビナが1つ100~200円でしっかりした質感の金具が買えます。

補修用資材にはビニロンやクレモナロープ

ビニロンロープやクレモナロープ(※ビニロンロープの一種)は荷造り用のビニール紐よりも遥かに丈夫で耐候性もあります。屋外利用でも耐えてくれる素材で、ロープの直径5~8mm、10メートルあたり500円くらいで入手可能です。

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こちらはブルーシートのハトメ(内径12mm)に通して結べば間仕切りや雨除け、住宅の損傷箇所の応急処置に使えます。太いロープは丈夫ですがハトメに入らなかったり、作業性が悪化しますので購入の際はご注意ください。

ロープの作られ方の違いで『3つ打ち』『金剛打ち』とか書かれていると思いますが、3つ打ちのほうが滑りにくくなるため、縛ったり、何かを固定する際にはこちらがおすすめです。金剛打ちは表面が滑らかでネジレにくい仕上がりになっています。

補修用や余震に備えて家具の固定なども考えると30~50m分くらいを目標に備蓄。糸巻きみたいなボビン型のパッケージですと収納にかさばりますので、10mのものを複数セットだと備蓄しやすいでしょう。

どんな結び方を覚えたら良いか?

ひとまず『もやい結び』だけでも覚える

下記は船舶ライセンススクールを展開されている株式会社ファーストポートによる『もやい結び』の解説動画です。

ロープワークで必ずといって出てくるこのもやい結びだけでも覚えておきましょう。

もやい結び同士でロープを鎖のように連結したり、バケツの取手につけて高所へと水をくんだり、ブルーシートの固定に使ったりと汎用性もあります。

ロープを締めた際に輪っかの直径が固定できるのでポールの先端などに引っ掛けて仮止めする用途にも使えます。

そして結んだ後もほどきやすく、ロープを切断せずに長さの調整も出来ます。荷造りのように固結びでギチギチに締めてしまうとロープが無駄にもなってしまうので是非『もやい結び』を覚えておくと便利です。

自宅から避難用に防災用ロープは使えるのか?

防災用ロープの用途として災害時に自宅の1階部分が利用不能になり、2~3階からロープを垂らして消防士のように1階へ降り立って脱出を検討される方もおられるかもしれません。

しかし、前述したように防災向けのロープ一本で緊急脱出や救助活動を行うにはハードルが高いため、事故防止の観点からは下記のような避難専用に設計された器具を利用しましょう。

オリロー株式会社は避難器具の分野で多くのシェアを占めており、学校やオフィスビルでもその商品名を見かけ事がある方も多いのではないでしょうか。

利用イメージとしては同社の商品紹介動画の通りですが、より高層階の避難器具は使うにも勇気がいりますね・・・。

水辺付近ならば水難事故防止にロープを常備

道路や街の整備が行き届いた街中だとあまり意識することはないと思いますが、自身の行動範囲に河川、貯水池、用水路、海岸が近い場合は水難事故防止に役立てることができます。ぜひ各種ロープを常備しておきましょう。

用水路といえば幅20~30cmの溝みたいなものを思い浮かべると思いますが、増水時には車も流されてしまう幅1~2mに達するものも存在します(用水路というかほぼ小川)。

また、ロープでなくとも、下記のようなネット状のものでも要救助者の身体を支えることができます。

ロープを投げる際には投擲しやすいように水を数百cc入れたペットボトルにくくりつけるケースがありますが、要救助者に直撃させてしまわないようご注意ください。

増水した川で流された子供を無事に救助できた事例

下記はロープではないのですが、水辺で発生した水難事故からの救助事例として参考になります。「ビニールロープひもではちぎれてしまった」という点も救助用には十分な強度が必要だという事がわかるかと思います

激流の中に子どもの頭があり、ただ事ではないと瞬時にわかった。ほかの大人2人とビニールひもで引っ張り上げようとしたが、途中で切れた。男児は再び流され、かろうじて指先でコンクリートブロックにつかまった。大人たちが丈夫なロープを探していた時、ワゴン車で通りかかったのが同市の西沢裕子さん(49)だった。西沢さんは車内にブースターケーブルがあることに気づく。長さは約3・5メートルと十分。丈夫なうえ、先端がクリップ状でつかみやすい。これが使えると佐々木さんたちに差し出し、みんなで男児を引き上げた。幸い、男児は擦り傷程度のけがで無事だった。
読売新聞オンライン 2022年08月04日

この事例では男児が流されても自力で指先でコンクリートブロックに掴まれる体力がありましたが、ロープで支えきれないくらい衰弱してしまったり、川の流れで身体を支えきれない状況だとロープを垂らすくらいでは救助ができなくなります。

そんな場合は、溺れつつある要救助者を岸辺へと寄せる方法などなど資機材を組み合わせる備えが重要になってきます。

上記は日本赤十字社広島県支部が解説している「救助棒」の作り方・使い方です。

前述の通り、私たち一般市民はレスキュー隊ではないためロープだけ渡されても救助活動の幅は残念ながらあまり広がりません。ロープ片手に水辺へ乗り出して、救助時にバランスを崩した際に落水してしまう事もあるでしょう。

専門技術を持たない方でも救助活動を円滑に行うためにも、赤十字が提案する救助棒をはじめ、フック付きロープ、ライフジャケットなどを備えていく事で1名でも多くの救助につなげることができます。

水辺がなくとも浸水リスクが高い地域は注意が必要

近くに水辺がなかったとしても、ゲリラ豪雨によって大量に雨水が街へ流入すれば浸水しやすい地域は水没します。雨水は高いところから低い場所へめがけて集中して流れ込んでいきますので、道路のアンダーパスや地下道は注意が必要です。

日本テレビが報じた上記の動画では車が水没していますが、地域によっては雨水によって地下道が冠水し、水深2mに達することもあります。2022年7月の大雨により滋賀県近江八幡市では地下道の冠水で死亡事故も発生しました。

防災グッズとしてのロープに関するまとめ
  • とっさに扱えない方にとっては優先度が低め
  • 避難生活や復旧活動時はロープの出番が増えてくる
  • ブルーシート等の他の資材と組み合わせると活用幅が広がる
  • ロープの素材はビニロンやクレモナロープがおすすめ
  • カラビナ付きであれば結び方を知らずとも作業性が良い
  • ロープの結び方についてまずは『もやい結び』から学ぶ
  • 緊急脱出や人命救助用には結び方だけでなく習熟が必要
  • 自宅脱出用にはロープでなく専用の避難器具を検討する
  • 水辺の近くでは水難事故防止にロープが活躍する
  • 浸水しやすい地域は近くに水辺がなくとも水難事故に注意