防災レポート

200名以上の医師や看護師が参加!市立貝塚病院の災害医療訓練

トリアージポスト前にて、救急搬送された傷病者を院内移送用のストレッチャーへと移し替え。

一般病床数は249床、普段は1日に700名ほどの患者様が治療に訪れる市立貝塚病院。午前診療のみとなっている土曜日を使い、医師・看護師・取引先・看護学校の生徒の方々を含めて250名前後が参加する大規模な災害医療訓練が実施されました。

市立貝塚病院側の医師・看護師だけでも200名以上が参加され、訓練時間も4時間以上にもなった今回の訓練では、災害発生から短時間に多数の傷病者受入を目指す上で、より実践的な内容が目指したものになったのではないでしょうか。

市立貝塚病院の災害医療訓練、事前アナウンスの様子。参加人数が多いためカメラの撮影範囲外にも多数関係者の方が集まられました。数百名ともなれば安否や対応可否の確認に出勤状況を把握していくだけでも名簿にすれば一覧表にびっしりと埋まるほどのボリュームに。災害発生と同時に対策本部の設置。場所については、今回、広めの廊下(患者が待機できるベンチは移動可能なので)が使われました。災害対策本部用の場所を確保した後は移動可能なデスクとパーティションで設営。

事前アナウンスから訓練開始直後の様子。1Fロビーでは訓練直前に関係者の方々が参集、2Fの吹き抜けから撮影しても写真の画面に入りきれないほど。災害対策本部は2Fにある泌尿器科前の診療待ちのベンチが移動され広めの通路が設置場所に採用されました。

医師・看護師が災害対策本部付近への集合がはじまり、続々と名簿へ書き込まれていきますが、さすがに広い通路も埋まり気味に。災害対策本部の設置後には役割分担や病院の建物そのものの状況確認を実施のため、各チームの代表者を設定。市立貝塚病院は地上8階・地下1階(敷地面積は5,600坪ほど)あるので被害状況の確認も手分けして効率的に進める必要があります。対策本部が災害時に対応するための組織編成表を掲示板へ貼り付け、所属先を確認を急ぐ職員の方々の様子。

医療機関だと「手術予定や入院中の患者は」「現患者を他の医療機関へ転送する必要は」「医療機器や資材はどれくらい持つか」といった様々な確認や判断事項が一気に押し寄せるため、対策本部立ち上げから傷病者の受入体制が可能になるまで本部前では対応に追われました。

今回は訓練のため被害状況の詳細な確認は優先度の高い項目に絞られた模様ですが、市立貝塚病院の建物規模は地上8階・地下1階(敷地面積は5,600坪ほど)と広大なため、実際に建物へ被害を及ぼすほど災害ともなれば、相当な点検項目数になりそうです。

災害対策本部と連絡を取るためのトランシーバは訓練時でも各トリアージエリアや移送班も携行する必要があるため、10台以上使用。災害対策本部では各対策チームの割り振り、被害状況などのを終え、傷病者受入体制を整えていきます。トリアージのうち緑色を設営。市立貝塚病院の今回の訓練では屋外にテントを設置した中へ設置されました。同じくトリアージの緑色での設営状況。緑色は自立歩行も可能で緊急性の高い処置や他の医療機関へ搬送する必要ないと判定された患者が含まれ、最終的にはテント内部に多数の椅子などが設置。また、緑色はトリアージポスト(トリアージの判定自体を実施する場所)の真横に位置しています。こちらはトリアージの黄色。トリアージポストと緑色は屋外、黄・赤・黒色は院内であり、黄色は赤色と黒色の中間点に設置されました。トリアージ黒色の設置。市立貝塚病院の建物としての構造や訓練の都合でトリアージポストからかなり遠い位置の設置となり、移送を担当される方は訓練時間の往復でも汗だくに。

傷病者受入の準備のため、院内の状況や災害時の組織編成を把握した後、トリアージの判定を実施するトリアージポストと、傷病者の振り分け先である緑・黄・赤・黒色の4箇所を設置。各トリアージエリア付近のパーティションは、対応時の傷病者に関する情報を時系列でまとめられていきます。

貝塚市消防本部の協力で傷病者の受入がスタート。搬送されてくる傷病者役は看護学校の学生が多数参加しました。トリアージポスト前にて、救急搬送された傷病者を院内移送用のストレッチャーへと移し替え。傷病者受け入れ開始時のトリアージ黄色エリアの様子。災害医療ではハイペースで患者が搬送されてくる以外にも、容体の変化をも激しいため各トリアージエリア間での再移送のため出入りが激しくなってきます。

貝塚市消防本部の協力により傷病者受け入れがスタート。傷病者の役は看護学校の学生らが多数参加され、市立貝塚病院の建物地下1Fで災害医療の特殊メイク(ムラージュ)を施して救急車へ乗り込み、エントランスまで次々と搬送されてきます。

早急に処置が必要な傷病者が移送されるトリアージエリアの赤色での様子。トリアージエリア黒色の様子。元々リハビリ用に用いられた部屋で、パーティションやベンチなど器具が多数あり区分けした簡易ベットへトリアージ黒判定の患者をシートごと移動。トリアージポスト前で待機する傷病者を移送用のストレッチャー。

心臓マッサージされながら運ばれてくる重体想定の患者はもちろん、一度に何名もまとめて訪れる傷病者への対応、乳幼児を抱えた母親、搬送された患者を照会したいと求める近親者役など様々なケースで進行。

災害対策本部では定期的に各担当しているエリアの代表が集まりミーティング。人員や資機材の不足などを確認。同じく市立貝塚病院、災害医療訓練時の災害対策本部の様子。

災害時は平時と違って診療予約された患者が来るわけではないので、どのタイミングで、どんな患者が何人搬送されてくるか…正確にわからない事は多々あります。訓練中盤では災害対策本部へは人員や利用機材の調整が盛んに実施されていました(一例としてストレッチャー自体の台数や、移送班の確保状況など)。

短時間の訓練だと時間の都合で各トリアージエリアの設営や手順の確認くらいで終わってしまう事もありますが、市立貝塚病院の災害医療訓練は4時間と長めであったため、スムーズに災害時の医療を対応していく上で、前述のような本部としての調整機能が有効に発揮されている模様でした。

訓練終了後、トリアージポスト内での振り返りミーティングの様子。同じく訓練終了後のトリアージエリア緑色での振り返りミーティングの様子。訓練内容全てが完了し市立貝塚病院の1Fロビーにて集合、病院・関係機関の代表者の講評。同じく市立貝塚病院の災害医療訓練終了後の講評の様子。講評後、解散しテントや医療器具など各機材を撤収、お疲れ様でした!

訓練の終了時間が近付くにつれ予定されていた傷病者の搬送を全て完了。

各エリアでの振り返りミーティングを経て、病院・関係機関の代表者の講評が1Fで行われ市立貝塚病院の災害医療訓練が無事終了となりました、お疲れ様でした!