2つの型番はパッケージや付属品に違いがある
まずレビュー前の確認ポイントとして、
「SG-409R」と「FLP-1809」は、LEDライトとしての性能は同一です。
ジェントス社の公式オンラインストアでもお問い合わせで確認いたしましたが、下記の通りざっくり書けば2つ違いは専用ポーチの有無です。
- FLP-1809には専用ポーチがついている
- 本体の型番印字が異なるだけで中身は同一性能
専用ポーチについては後ほど撮影データを掲載しますが、ベルトやバックパックに取り付けられるようになっており結構便利です。SG-409R単品で買うよりも300~400円追加で付属してくるのでFLP-1809がおすすめです。
以後、2つの型番で書くとまぎらわしいのでこの記事中では「SG-409R」とします。
SG-409Rの主な製品仕様
数値はジェントスの公式サイトの製品詳細ページから次の通り。
明るさ | 最大480ルーメン |
---|---|
調光機能 | High、Mid、Ecoの3つ。点滅はなし。 |
点灯時間 | High 4時間、Mid 7時間、Eco 11時間。 |
焦点調整 | ヘッドを回すことで無段階に調整可能 広く照らしたり、照射範囲をしぼって遠くまで照らせる |
電池 | 専用充電池 |
充電方法 | 付属のマイクロUSBケーブルで3.5時間充電 |
寸法 | 直径30.3mm×長さ151.1mm |
重量 | 154g(電池含む) |
落下耐久 | 2m落下耐久 |
保護等級 | 耐塵・防滴(IP64準拠) 防水面について水中は無理で飛沫程度には耐えられる |
防災面では「点灯時間Highモード4時間は短いかも」と思われる方は複数本用意したりバッテリーのスペア、または同社 REXEEDシリーズがさらに長持ちな作りになっていますのでご検討ください。
同梱物やサイズ感、専用ポーチについて
前述の通り、FLP-1809を購入した場合はSG-409R本体と専用ポーチがついてきます。重量に関しては大容量モバイルバッテリー(10,000mAh)で200g程度ですので、もうちょっと小ぶりのモバイルバッテリーと一緒に持ち運ぶくらいの感覚です。
そして専用のポーチですが、ベルトへはマジックテープ(面ファスナー)とボタンでかなりしっかりと止められます。フックもついておりますので落下防止用コードと組み合わせれば紛失防止にも役立ちます。
専用ポーチのフィット感はガバガバという事はなく、実際に購入して専用ポーチへ入れてみたり、横に並べてみると結構ぴったりでした。
本体の先端部を左右にねじることにより照射角度を広げたり、狭めて明るさを遠くに集中させることができます。
ジェントス社ではフォーカスコントロール機能と呼ばれていて、ねじり具合は若干硬めに感じるくらいで不用意に回ったりはしない感触です。
バッテリーと充電中の点灯可否について
SG-409RはUSB電源により専用バッテリーへと充電が可能です。このバッテリーは専用電池SG-39SBでスペアバッテリーとして複数用意しておけば連続利用ができます(バッテリー交換が可能なタイプ)。
しかし、説明書にも書いてあるとおり充電中は点灯ができません。
充電中も点灯できたならモバイルバッテリーと組み合わせて長時間点灯もいけるかな?と思ったのですがここは仕方ないですね。
停電を想定した屋内での点灯レビュー
停電時を想定して窓から光が入らないよう遮光性のある厚めのカーテンで締め切って、点灯レビューを行いました。また、単に「明るい」だとどれくらい明るいかイメージしにくいと思いますので他の照明器具と比較しています。
点灯レビューで比較対象に使った照明器具
明るさの比較に使った照明器具は以下の5種。
上記写真の左から、
- 手回し発電ラジオ SONY ICF-B01
- LED手持ちライト Panasonic BF-BG01
- 豆球時代の懐中電灯 TOSHIBA BK-141
- 自転車用のライト CATEYE HL-AL230
- LED手持ちライト GENTOS SG-409R
となっています。この点灯レビューでは遮光カーテンで締め切った部屋でこれらの照明器具を1.5m先にある壁に向かって照らし、壁に貼り付けた定規にピントを合わせて撮影しております。撮影はマニュアル撮影でなるべく実際に見た時と同じくらいに調整しました。
停電を想定した屋内での点灯レビュー結果
SONY ICF-B01 で停電した屋内を照らす
よく防災グッズの候補としてもあがりやすい製品の一つ、手回し発電ラジオ。
SONYの本製品にはスポットライト機能がついていますが、明るさは5つの製品では最も暗く、屋内でもぼんやりとして見える程度でした。
撮影データだと「照らした数十センチ程度の範囲以外は真っ暗なの?」という印象があるかもしれませんが、肉眼でみると周辺も少しは明るさを感じ取れる程度はあります。
Panasonic BF-BG01 で停電した屋内を照らす
単三電池3本で点灯するスリムな手持ちLEDライト。レンズ表面は一点に集中するような凸レンズ加工が施されています。
明るさはスポットライト状に光るペンライトのような印象ですが、屋内で点灯させてみると一点に集中させすぎている印象がありました。SONY ICF-B01に付属しているスポットライト機能よりも遠くを照らすことは可能になっています。
TOSHIBA BK-141 で停電した屋内を照らす
何十年も前の製品と見られる「豆電球式」の懐中電灯。現代では豆電球カラーの明るく光る「暖色LED」がありますが、こちらは本当に豆電球であり単一電池4本を使用します。
豆電球式とはいえ、単一電池を4本使っていることやレンズ・反射板の巨大さもあってかPanasonic BF-BG01よりも強力で反射光により光を当てていない場所でも柔らかな明るさを感じられます。
CATEYE HL-AL230 で停電した屋内を照らす
こちらは自転車用の照明器具として販売されているLEDライトで、単三電池を4本使って複数の白色LEDを灯す製品です。
自転車用として販売されていただけにSONY ICF-B01やPanasonic BF-BG01よりも明るく照らすことが出来て、停電時の状況確認には最低でもこれくらいは必要だなと感じました。CATEYE HL-AL230も既に古い製品のため、生産されていないようですがカタログスペックでいくと数十ルーメン程度との事。
GENTOS SG-409R で停電した屋内を照らす
そして本命のジェントス SG-409R。
Highモードだと「部屋の電気つけたの?」と思うくらい広く・明るく照らし出されます。
・・・というより「比較した他の4製品はなんだったの?」「明るさの比較とは?」とツッコミたくなるぐらい明るさに差が出ました。
Highモードで天井に向けると、天井に反射した光だけで部屋全体がぼんやりと明るくなるほどの性能をもっています。
明るさ3段階 High、Mid、Ecoのうち中間のMidモードでは・・・
そして一晩は点灯が可能とされるEcoモードだと・・・
Ecoモードでも広く照らし出されている効果もあってか想像以上に明るく感じます。自転車用にSG-409Rを使ったとしても、ゆったり夜間走行している程度ならEcoやMidモードでも運用できる明るさだと感じました。
一般的な自転車用ライトはスポットライトのように縦方向に細く照らしがちですが、SG-409Rのように走行者の周辺まで均一に明るいと周囲の状況を把握しながら移動できるため安全を確保しやすくなりますね。
深夜の河川敷での屋外点灯レビュー
屋内に続き屋外でも点灯レビューを実施しました。
深夜の河川敷という環境に加え、街灯も少なく、停電時の移動を想定しやすいと思います。明かりを何も持っていない場合は下記のような状態です。
光の到達状況をわかりやすくするため、10m先、20m先には2Lのペットボトルに5cm程度の反射板をつけておきました。
暗すぎて目印の位置関係や地形がよくわからないため、画像を調整したものが下記になります。距離は10mのロープで斜面の長さを測っています。
なお、反射板は展示会で頂いた交通安全のための記念品(無料グッズ)であり、何か特別な仕様になっている訳ではありません。
深夜の河川敷(階段)での点灯レビュー結果
各照明器具の設置位置は成人男性がLEDライトを腰くらいの位置に手に持って使用した場合を想定して、高さ1m程度の脚立に水平置きしています。
屋内点灯と比べて光が反射するものが大幅に減るため、光が空間に吸い込まれるような感じになります。
TOSHIBA BK-141 で深夜の河川敷を照らす
10m先の目印の手前まではハッキリと見えるところがありますが・・・
・・・明るくなる範囲が狭い!
平時だとあまり気にしないでしょうが、災害時の状況把握に用いるには、ライトを色んな方向へ向けないと苦労しそうです。
CATEYE HL-AL230 で深夜の河川敷を照らす
続いて自転車用のライト。20m先に設置した反射板が見えやすくなり、明るくなっている範囲も拡大しました。
とはいえ、やはりスポットライト状になる配光だけでは例え明るくても災害時に状況把握には向いていない感じです。
GENTOS SG-409R で深夜の河川敷を照らす
そしてSG-409RのHighモード点灯。屋内点灯で部屋丸ごとを明るくした性能をもっていただけに、さすがの明るさ・光の広がり具合でした。
3つのLEDライトはいずれも階段の下から水平に照らしているのに、SG-409Rだと15m付近まで、しかも左右の方向にも幅広く照らし出されています。
SG-409Rにはフォーカスコントロール機能、LEDライトの先端をねじる事で光を集中させたり、広く拡散させることができます。
Ecoモードで光を集中させると・・・
続いて中間のMidモード、
そしてフルパワーのHighモード。
Highモードでは肉眼でも白い部分に当たると光が反射しすぎて眩しく感じます。
繰り返しになりますがライトは階段の最下段で地面と水平に設置してこの明るさをもっています。20m先の目印ペットボトルを狙って照らしているわけではありません。
災害時には頼もしい製品となる一方で、対向車線にいる自転車・自動車、歩道にいる歩行者に強い光を当ててしまわないようご注意ください。
SG-409Rは40m先の路面状況を把握できるか?
ここまで遠近両用として活躍するフォーカスコントロール機能と、小型ながらもパワフルな明るさを誇ってきたSG-409Rでしたが、40m先の路面の状況(凹凸など)は把握できるものでしょうか?
距離の参考物として乗用車が長さ5mまで、観光バスなら長さ12m、建築物で14F建てであればその高さは40~50mになります。
まずは照明なしの状態。
こちらも目印の位置関係や元の地形を知るために画像調整したものが下記です。
照明なしでは河川敷にある消波ブロックが一面に並んでいるところを映しているのですが、近くに街灯は一切ないため、当然よく見えません。
河川敷から川の方角を向いて撮影してみると・・・
やはり対岸の照明で水面が少し反射する程度で、やはり状況の把握は困難でした。
明るさは芳しくないですが、比較的遠くを照らせていた豆電球式の手持ちライト、TOSHIBAのBK-141で照らしてみました。
目印以外の地面が全く見えないのは、ライトを水平に設置しているためで、光の広がりがないライトだとこのように映ります。
そしてSG-409Rに切り替え、先端を絞って一点に集中させて点灯してみます。
40m先にある目印よりもさらに奥行きが見えていますね。
さらに1mの脚立に設置していたSG-409Rを1.8mくらいの位置に持ち上げて40m先にある目印めがけて角度をつけて照らしてみました。
およそ数十mの円状に照らし出されました。消波ブロックの状態も比較的把握できるほうじゃないでしょうか。
防災グッズにSG-409Rをおすすめしたい方は?
SG-409Rはホームセンターやコンビニで市販されているLEDライトと比較すれば価格差はあるものの、使ってみるとLEDライトでこれだけ性能差あるんだ?とちょっとしたインパクトがあります。さすがライト専門で製造されているだけあります・・・。
で、防災グッズにこのLEDライトを入れたほうが良いのかどうか?ですが、高性能なLEDライトの必要性が出そうなパターンとして
- 夜間に移動したり作業する時間が長い
- 災害時に被害が拡大しやすいエリアに居住している
といった2パターンがあると思います。
夜間に移動したり作業する時間が長い
夜間の移動や活動が多い場合は、深夜の屋外で被災したりする確率も高くなりますし、事故防止・安全確保という意味でも普段遣いが効果的でしょう。
自転車に取り付けるアクセサリも販売していますので、専用ポーチとともに作業スタイルに合わせて携行がおすすめです。
災害時に被害が拡大しやすいエリアに居住している
お住まいの地域や普段の行動範囲が災害時に高リスクエリアであるほど早めの警戒を迫られるため状況把握の重要性が高まります。リスクの度合いについてはハザードマップを調べる事で代表的な自然災害の被害想定を知ることができます。
国土交通省 ハザードマップポータルサイト
https://disaportal.gsi.go.jp/
ハザードマップは上記の国土交通省のものが便利ですが、単にご自身の住所を検索するだけでなく、同サイトの「わがまちハザードマップ」から地元の自治体サイトで細かな情報が掲載されていないか確認してみてください。
自治体によっては独自に防災上、高リスクなエリアについてアナウンスしている場合があります。たとえば、東京都板橋区の公式サイトの「清水町・蓮沼町周辺地区の防災まちづくり」のページでは、震災時の火災リスクについても触れています(※PDFファイル)。
停電時の住宅街は街灯も消え、ヘッドライトを点ける車の往来も少なくなるため真っ暗になります。そんな夜間に被災すれば道路や建築物の損傷具合をよく把握できないまま避難行動を取らざる得ない事もでてくるでしょう。
災害時に被害拡大しやすい高リスクなエリアにお住まいの方、または活動範囲がそういったエリアを行き来される方は、GENTOS SG-409Rのような高性能なLEDライトを防災グッズとして取れ入れてはいかがでしょうか。