防災グッズにナイフは必要ない事が多い
サバイバルナイフの基本的な用途としてはキャンプ先で食材を切る、キャンプファイアーの薪を用意する、釣りで魚をシメたり捌いたり…、ですが、災害時や防災グッズの備えとしては役立ちにくい存在でもあります。
- 小型のナイフを自由に扱えるのか
- ナイフを活用できるシーンは多いのか
- 持ち歩いて銃刀法などに触れないか
まず、ナイフを持っていたとして皆さん自由自在に扱える自信はあるでしょうか?おそらく多くの方が使い方を誤って、むしろケガをする頻度が高まると思います。
そして、ナイフという刃物自体にあまり出番がありません。
ロープや布地を切るならハサミのほうが便利ですし、ナイフで食材を調理するとしても災害時には平時のような凝った調理はあまり見込めません。
別の大きな問題としてナイフ自体が凶器として持ち歩くことはできないという事。
銃刀法や軽犯罪法、これらは刃渡りが6cm以下であっても正当な理由なく凶器を携帯しているとして取締の対象となります。逆に防災グッズとして見ても、刃渡りが3~4cmみたいなレベルの刃物ではそれはそれで使いにくくなり、やはり無理してまでナイフを用意する必要性はなさそうです。
十徳ナイフなら有効そうな機能はありそうか?
十徳ナイフとは手のひらサイズで缶ジュース1本程度の重さながらも、多くの機能を備えるナイフです。ビクトリノックス、レザーマンといったメーカーが有名です。ナイフ以外にも穴あけ、ドライバー、やすり、爪切り、栓抜き、缶切り、ピンセット、ノコギリ、ペンチ、ハサミなどの機能がセットになっています。
下記に十徳ナイフの機能と防災グッズとして有効そうか検討した表を掲載します。
とげ抜き、爪切り | こちらは衛生面も考えて医療キットと一緒にいれておきましょう。避難生活で爪が伸びて爪切りだけが何故か手元に無いというレアなケースでもハサミで爪を切れば良いかと思います。 |
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ドライバー、ノコギリ | 復旧作業の一環で工具が必要な場合はナイフくらいのサイズ感では作業効率が大きく低下するため、ちゃんとした工具セットを自宅に1セットあれば良いでしょう。 仮に工具類を常に携帯してすぐ対処しなければならない機械が身近にあったとしたら、メンテナンス用の専用工具のほうが携帯面・作業面なども踏まえて優位性があるのかどうか検討して採用しましょう。 |
缶切り、栓抜き | 阪神・淡路大震災(1995年)では一部の缶詰がプルトップ缶(缶切りが不要で開けられる)に対応していなかったため、缶切りも防災グッズの候補にもあがっていました。 しかし、現在のスーパーなどで手に入れられる一般的な缶詰は工具不要で開けられる製品が大多数だと思いますから不要でしょう。 日本国内で流通している飲料用ボトルが栓抜きがないと飲めないという状態も考えにくいため、必要性が高い機能とは考えておりません。 |
1つのツールで無理に解決させようとしない事も重要
人が不安に感じる時の心理状態として、高機能な万能ツールにどこか憧れるところがあります。カタログを見ていると「これがあれば、なんとかしてくれそう」という頼もしさを感じたりもします。そして、実際問題、無人島生活や数ヶ月におよぶ孤立無援の状態まで想定するのであれば、もっておきたいとも思います。
ただ、そこまで想定するならサバイバルに関する様々な知識・基礎的な体力・様々な資機材を用いた技術の習熟など総合的な能力が求められるでしょうし、やはり十徳ナイフ単品が解決してくれる問題ではなくなってきます。
小型の携帯ツールで何役も機能があるとコンパクトで持ち運びがしやすくて助かりますが、実際に使いこなせるか?現実的に出番がありそうか?といった事に注目して製品を選択すると良いかと考えております。
ハサミは軽犯罪法にふれるのか?
サバイバルナイフや十徳ナイフだけでなく、ハサミも刃が長い(8cm)ものや、ぶっ刺せるような尖ったものもアウトです。参考までに警視庁の刃物に関する記述を以下に掲載します。
本来人を殺傷するために作られた凶器のほか、使用方法によっては人を殺傷することができる器具(例えば、はさみやツールナイフ等)も含まれます。
(小さいからといってツールナイフやいわゆる十徳ナイフなどを、アクセサリー感覚で持ち歩くことも、場合によっては取締りの対象になることがあります。)
警視庁 生活環境課 銃砲刀剣類対策係 「刃物の話」より引用
なので、先端を丸めたキッチンバサミや医療用ハサミが製品の選定ポイントになるかと思われます。逆に、布地を切断する大型の裁ちばさみ、刃が分離できて尖ったキッチンバサミあたりは携行するには大型で重量もあり、凶器としての要素が高まってしまうでしょう。
また、違法かどうかの線引きについては、弁護士さんに聞いてもおそらく「時と場合による・職質受けたときの状況次第」みたいな、少し抽象的な回答が多くなってしまうと思います。これは、あらゆる局面でセーフだと言える状況が設定しにくいからでしょう。
考えてみても「家の近くのコンビニ行くのに大型の裁ちバサミもってた」「防災グッズ目的が理由と言ってる割に、深夜にLEDライトとハサミだけ所持している」とかは正当な理由には厳しいとは思います。
無用なトラブルを避けるためにも、ハサミを持ち歩く合理性があるか?、仮に自身の周囲の方がその持ち物で不自然に感じないか?…を考えて備えましょう。
医療用キットとも組み合わせやすいハサミ3選!
前述のように先端の丸い小型のハサミを導入するとして、あまり安っぽい製品だとなかなか切れず、持っていても役目として果たせない事態に陥ってしまいます。
ここではハサミの中でも、医療用キットと組み合わせやすい「医療用ハサミ」や、被災時の調理に役立てやすい「キッチンバサミ」を重点的に選んで紹介しております。
硬い材質にも対応する頑丈なハサミ! ピラニアはさみ
ピラニアはさみ 140×70 /8-6684-01 |
サイズ | 約 縦15.4cm × 横10cm × 厚み0.9cm |
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重量 | 36g |
製品の強み | 革やデニムといった硬い材質の切断に対応できるほど頑丈 ガーゼのような柔らかい材質ももちろん対応 |
ハサミ以外の機能性 | 特になし |
医療器具などを取り扱うアズワン社が販売、ハサミのロゴから見る限りメーカーは米国タイテックメディカル社のピラニアはさみのようです(※Amazon上では明記されておらず)。先端は傷病者を傷つけないように丸みがあり、サイズは一回り大きい 18.3cm × 11.1cm × 4.2cmもあり。
ガーゼのような柔らかい材質はもちろん、革やデニムのような硬い材質にも対応できる頑丈な医療用はさみで、被災時にはちょっとした部材の修理にも役立てられそうですね。
マルチツールに近い機能を持つ パール金属 多機能はさみ
パール金属 ベジクラ レトルト多機能はさみ 【日本製】 C-9105 |
サイズ | 縦22.5cm × 幅 7.5cm × 厚み 1.5cm |
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重量 | 99.8g |
製品の強み | マルチツールのような豊富な機能 刃を分離できる構造 |
ハサミ以外の機能性 | 切る、割る、つかむ、しぼる、小口切り、栓抜 |
クレジットカードのような長方形の金属板に栓抜き、カッター、ヤスリ、ドライバーのような機能を持つ製品(マルチツール)もありますが、被災時に栓抜きやボルト回しする事自体が稀なので、ファッション要素も強いマルチツールよりも実用度重視の高機能はさみをピックアップ。
ただ、元々キッチンバサミのカテゴリに入る製品ですので、長さが22cmと携行には少し不向きなサイズ感ですので、キャンプ用途や自宅用の防災グッズとしてはちょうど良さそうです。
普段遣いにはピッタリ infirmiere フッ素加工済み 看護師はさみ
はさみ ハサミ 救急 医療用 看護師 テーピング ナースグッズ 日本製 バンジーストラップ付 フッ素加工 ナースハサミ (ブラックタイプ) グリーン |
サイズ | 縦14cm × 横6.5cm × 厚み0.9cm |
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重量 | 50g |
製品の強み | テープのノリに対するベタ付き防止 刃先への安全ガード付き 落下防止ストラップ |
ハサミ以外の機能性 | 特になし |
看護師さんなど医療従事者向けの製品を主に取り扱うアンファミエ社のハサミ。サイズはiPhone程度に収まるコンパクトさ。
分厚い布や革もすいすい切れます!みたいな特殊性はありませんが、切っ先が尖っておらず、普段遣いの用途としては扱いやすい仕様のハサミです。