製品の選び方

新型コロナ対策で次亜塩素酸水を安く・安全に用意するにはどんな製品が候補になりそうか?

新型コロナウイルス対策に次亜塩素酸水を消毒液として用いるため、電気分解型の生成器・薬剤を利用する際には際、その操作や保管に十分ご注意ください。

次亜塩素酸ナトリウムの扱いにくさがきっかけ

漂白剤などによく用いられるのは「次亜塩素酸ナトリウム」で、安価で幅広い細菌やウイルスに対抗することができますが、下記のような危険性や手間がかかっていました。

  • 液自体が強いアルカリ性のため皮膚や目へ誤って入るとケガの危険
  • 化学反応により除菌した場所の素材を傷めやすい
  • 除菌後、水ですすぐ・拭くなどの手間がかかってしまう

消毒用アルコールであればスプレーで拭いてそのまま他の作業を継続できるため使いやすさは抜群でしたが、新型コロナウイルスの一件で売り切れ・買い占めによる転売が相次いでしまい、入手が困難な状況です。

そこで…、

より安全性の高い「次亜塩素酸水」の需要が高まりました。
しかし…、またしても次のような問題が起きました。

  • 少量な割に数千円もしてしまってコスパ悪い…
  • Amazonや楽天でメーカー不明の海外製品の出品が多い…
  • 次亜塩素酸水の製品が多すぎて選べない…

Amazonで「次亜塩素酸水」と検索してみるとよくわかりますが、新型コロナ対策の需要に出品が加速しており「どれ選べばいいのか?」とか「これ使ってホントに大丈夫?」みたいな商品が多くなってしまいました。

このページでは安く(費用対効果)・安全(扱いやすさ)・大量(備蓄もしやすい)に注目してマッチする商品や次亜塩素酸水の確保手段について検討したものです。

中間情報:有効性を疑問視する報道がなされる?

2020年5月29日に次亜塩素酸水に関する新しい情報が確認されました。

製品評価技術基盤機構(NITE)より、新型コロナ対策で使われていた次亜塩素酸水の消毒液としての中間報告を受けてNHKニュースでは下記のように報じています。

「次亜塩素酸水」現時点では有効性は確認されず NITEが公表
新型コロナウイルスの消毒目的で利用が広がっている「次亜塩素酸水」について、現時点では有効性は確認されていないとする中間結果を公表

記事タイトルだけ見ると「次亜塩素酸水は効果ないの?」とも感じましたが、NITEが公表しているページ『新型コロナウイルスに有効な界面活性剤を公表します(第2弾)~物品への消毒方法の選択肢がさらに広がります』を確認しにいくと、まだ判定中との事でした。

判定に至っていない理由は、検証している大学によって”効果がでた・でなかった”で別れてしまっているのが原因でした。有効塩素濃度が50ppm以下で検証されていた事もあり、より濃度を引き上げて検討を進めるとのことです。

電気分解以外で生成された次亜塩素酸水の消毒効果

5月28日、NITEでは次のドキュメント『新型コロナウイルスを用いた代替消毒候補物資の有効性評価にかかる検証試験の中間結果について』では、電解によって得た次亜塩素酸水に関して触れていました。以下P.4より引用します。

<今後の検証試験の計画>
市場の実態に合わせ、次亜塩素酸水(電気分解法で生成したもの)4 種に加えて次亜塩素酸水(電気分解法以外で生成したもの)を検証試験の対象に追加した。この際、有効塩素濃度と溶液の pH が同等であれば消毒効果は同等と考えられることから、特定の製法で生成された次亜塩素酸水の検証結果に基づいて、他の製法で生成されたものの効果も同等とみなすものとされた
新型コロナウイルスを用いた代替消毒候補物資の有効性評価にかかる検証試験の中間結果について

次の項で紹介しているジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かして得られる次亜塩素酸水が、”電気分解法以外で生成したもの”にあたります。

固体の状態で保管できるタイプが取り扱いやすい

操作が比較的容易である事、消毒過程としてプールなどに長年利用されてきた実績がある事からジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを主成分とする錠剤や粉末タイプの商品が消毒液として有効だと考えています。具体的には下記のような商品です。

ジアテクターP 次亜塩素酸水 生成パウダー ジクロロイソシアヌル酸Na 120g【計量スプーン付き】希釈濃度1000ppm 70リットル分 塩素除菌剤 プール除菌剤 超音波加湿器で使用可能 利用目的別に濃度調節可能 家庭用プール用 節水 プール 清潔

食品工場や温泉施設などの公衆衛生に強みを持つ抗菌美装株式会社が提供する次亜塩素酸水を生成する顆粒で、2000~3000円で100リットルぐらいの消毒液が作れます。濃度を調整して使用すれば毎日スプレーボトル1本(500cc)を使い切るほど消毒しまくったとしても、丸一年は持つ量を確保できるでしょう。

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ほか、哺乳瓶などを洗浄するミルトンCPも確認したのですが、こちらはキョーリン製薬ホールディングスの解説ページでは『Milton CPは、水に溶かすことで次亜塩素酸ナトリウム溶液となります。』との記載がありました。どうやら次亜塩素酸水にはならないタイプのようです。

たまに次亜塩素酸水の液体そのものを販売されている商品もありますが、この場合は保存場所によっては自然分解が進んでしまったり、次亜塩素酸ナトリウムを酸性に傾けて作ったものなのか製法の違いがわかりにくかったり、それほどコスパが良好でもない様子でしたのでここでは除外としました。

ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムはプールや公衆浴場にも用いられる薬剤ですが、化学反応式や補足事項については下記を参考にしました。
日本大学 水の消毒 イソシアヌル酸と結合塩素をめぐって(※PDF)
次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムの同類性 に関する資料(※PDF)
食品安全委員会 ジクロロイソシアヌル酸(※PDF)
環境省 優先評価化学物質のリスク評価(一次)(※PDF)
水浄化フォーラム 技術解説 処理技術と維持管理

ドラッグストアやスーパーでも確認できる成分ではありますが、薬剤の操作や保管には製品の注意書きをよく確認しておきましょう。

食塩水の電気分解する3000円の商品はNG?

結論、NGとしました。理由は製品品質の低さです。

Amazonや楽天では「水と食塩で作れる次亜塩素酸水の生成器!」とアピールした商品が数多く販売されました。本体値段も2000~3000円と何リットルも生成できるのなら手頃でしょう。

しかし、製品によっては次亜塩素酸水ではなく、次亜塩素酸ナトリウム液が生成される場合があるとわかり、製品品質面で不安があります。本来、水ぶきが必要な後者の消毒液を安易に噴霧したり、金属部分が腐食したりすれば別の事故にもつながります。

メーカーがよくわからない製品も販売されているのに加えて、確実に次亜塩素酸水を生成する装置だと判明しないとちょっとオススメはしにくいです。

品質管理された国産の次亜塩素酸水生成器は?

予算が取れたり、酸性の次亜塩素酸の生成ではなく電解次亜水でも良いと認識している場合は採用できると思います(またはメーカー側で電解次亜水ではなく、次亜塩素酸水が生成できると確定ができている製品)。

ただし、生成器の値段が数十万円におよぶ事もあり、装置の品質に問題なくても多くの方にとってはコスト面が問題になってくるでしょう。

また、電気分解して次亜塩素酸を作る場合、一般財団法人機能水研究振興財団の『機能水 電解水について (表1) 電解水の種類』によれば、pH6.5以下の電解水ではじめて次亜塩素酸水になります。

1室型の食塩水を電気分解する方式は電解次亜水で別のものに定義されていました。そして認可状況が「次亜塩素酸ナトリウム水溶液と同等」とされています。

購入する場合は目的の酸性側の次亜塩素酸水が確実に・継続して生成ができ、かつ、有効塩素濃度のコントロールが効く製品なのか確かめておきましょう。

いっそのこと、自作電気分解装置はどうか?

化学の知識や機材を自信もって用意できなければNGでしょう。

YouTubeで検索して見ると自作電気分解が何本も紹介されていますが、一般の方が真似するにはリスクが高いと思われます。

電気分解の過程で水素や塩素が過剰に発生して気づかなかったりすると火災・有毒ガスの発生事故の原因になりますし、機材の準備や電気分解の液体を確認するために別のコストがかかったりもします。

前述のように消毒液を個人が利用する目的で次亜塩素酸水を確保したいのであれば、いくら大量に用意したいといってもポリタンクを何十個も必要はないと思います。

もし、災害時の避難所コミュニティにおいてそういった準備も想定する場合には、監修してくれる方を探す事から始めたほうが良いでしょう。

下記は電気分解ではなく、水と混合して次亜塩素酸水を作るタイプの製品。
抗菌美装株式会社:ジアテクターP

ジアテクターP 次亜塩素酸水 生成パウダー ジクロロイソシアヌル酸Na 120g【計量スプーン付き】希釈濃度1000ppm 70リットル分 塩素除菌剤 プール除菌剤 超音波加湿器で使用可能 利用目的別に濃度調節可能 家庭用プール用 節水 プール 清潔

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