製品の選び方

防災グッズにマッチやライターは不要か?火災予防が大事でも、使う場面を想定しておこう

災害時にマッチはライターは必要なのか?

いらなそうに思えて重要な防災グッズ

「被災地で火は使わないほうが良いのでは・・・?」という感覚は間違っておりません

火災にならぬよう無闇に火気は使わないほうが良いですし、避難所では利用時間・区域などを制限されることが普通です。

となると、「マッチやライターは不要だ」と考える方も多いとは思います。

しかし、厳冬期の被災地ならばどうでしょうか?

浸水被害などで服が濡れていれば寒さも伝わりやすく、強い風は服を貫通するような感覚さえでてきます。防寒具を着込んでいなければ耐えられないほど凍えるでしょう。

防寒具、ホッカイロ、アルミブランケット等も被災時にすべて持ち出せるとは限りません。また、用意した物だけでは暖がとれないかもしれません(防寒・加温不足)。

TBSが報じた下記動画のように2022年1月6日には都心部でも雪が降り、翌日7日の最低気温はマイナス3.5度。近畿の都市部でも夜間は0度近く低下しました。

こういった体温低下が心配される場合には緊急的に暖を取るため、着火用具1つあるだけでも窮地を救う品物になりえます。

雨風や雪にさらされる被災地を想定しておこう

例えば、東日本大震災では死因の9割が『津波に巻き込まれたことによる溺死』という事になっています。津波が関係していた事は確かですが、被災地では詳細な検死が追いつかなかった現実もありました

このような背景から、東日本大震災における宮城県での死因体系化の試み(※PDF)にて溺死だけでなく、低体温症や損傷死など他の詳細な死因について分析が進められています。

もし、低体温症であれば暖をとることで助かったかもしれません。

MSDマニュアル家庭版 低体温症の項目によれば、周囲の気温が13~16℃程度でも低体温症になるリスクがあるとされます。

梅や桜が咲き始めるような3月半ば頃でも、夜間は気温が10度程度に落ち込みます。

低体温症のリスクにさらされたのは過去の震災でも当然ありました。下記の撮影データは阪神淡路大震災の避難所で見られた焚き火の様子です。

阪神淡路大震災では最低気温は0度近くが4日続き、日中の最高気温でも10度ありませんでした。当時の他の記録写真を見ても、倒壊して住めなくなってしまった自宅から毛布を引っ張り出し、寒さをしのぐ様子が多数確認できます。

熊本地震が発生したのは2016年4月16日。4月半ばでも気温が1桁に落ち込む時間帯もあり焚き火を囲む姿が見られました

繰り返しとなりますが、火災予防の観点から火気の取り扱いには注意しなければなりません。しかし、前述のような局面もあることを知っていくだけでも防災グッズへの捉え方はアップデートしていけると思います。

防災グッズに向く着火器具の選び方は?

着火用具に関してはマッチやライター、キャンプに使われるメタルマッチ(ファイアスターターとも呼ばれ火打ち石みたいなものです)でも構いません。

ですが、防湿・防水性の確保のほか、バッグ内部での誤動作で引火事故や衝撃での破損を防ぐため不燃性のケースへ入れておきましょう

メタルマッチは仕組みが非常にシンプルで水損や経年劣化といったトラブルを抑えやすいですが、着火手順を経験しておかないと手間取ります。

上記はファイアスターターの使い方を紹介されている海外動画ですが、ご覧の通り、ライターのような扱いやすさはありません。

ライター類は操作性や火のコントロールもしやすくて良いのですが、ゴムパッキンの経年劣化などでガスが抜けたり、肝心な時に故障・破損の可能性があります。普段ライターを使う方なら問題ないですが、長期保管用には適さないのでご注意ください。

メタルマッチは100円均一ショップでも入手可能なのですが、かなり小型のため火がつけにくいかもしれません。

また、コンパクトにまとめた防災ポーチみたいなものだと、燃やすものは用意できてもキャンプ用品の焚き火台やコンロを持ち運ぶことができません。なので、厚手のアルミホイルを小分けして巻いておけば即席で不燃性のプレートを作ることができます

created by Rinker
キャプテンスタッグ(CAPTAIN STAG)
¥1,427 (2022/05/17 02:38:03時点 Amazon調べ-詳細)

製品パッケージにも注意書きがありますが、家庭用のアルミホイルの4~5倍の厚みがあるので、ハサミやカッターで切ると鋭利になるため折り目をいれて引き裂くように小分けしましょう。

災害時に火はどのような場面で役立つか?

マッチを擦って火をつけただけだと用途は限られるかもしれませんが、燃料となる木材等の供給と、他の生活用品と組み合わせていくだけでも様々な用途があります。

調理・体温の維持
・食中毒、感染症の予防
暖房・体温の維持
・濡れた製品の乾燥
給湯・身体の衛生改善
照明・視界の確保
信号・夜間の信号灯火
・航空機類への救難信号
消毒・原虫やウイルスの煮沸消毒
・汚染物の焼却殺菌(火炎滅菌)
殺虫・害虫対策(蚊取り線香 太巻)
発電・熱発電(熱発電素子など)
蒸留・海水の淡水化
・浄水器利用前の処理

防災グッズには「替えがきくもの」とそうでないがあります。例えばキャンプ用ナイフの取り扱いに慣れていなくても、キッチンバサミ等である程度代用することは出来ます。

一方、火はその替えが効きにくいものです。

もし、火が照明にしか使えないのなら「今ならLEDライトがある」で済みますが、暖房や調理といった熱は電気では効率が悪く、すぐにバッテリーが切れてしまいます。

別記事ではツナ缶ランプを推奨していませんが、火を照明のためにつけるのはリスクのほうが大きいというだけで、火が持つ恩恵をすべて捨てると命を救えなくなる事もあります

南海トラフ巨大地震のように影響が広範囲に及ぶ災害に備えるためにも、火の取り扱いをキャンプなどのアクティビティを通じて学ぶと良いでしょう。