防災・減災ガイド

線状降水帯はどこに発生しやすいか?11日間で68回も発生した豪雨災害の要注意エリアとは

たった11日間で68回も線状降水帯が発生

下記は日本気象協会がまとめた2018年6月28日から7月8日までに発生した線状降水帯のレポートです。マップに記されているように線状降水帯は、西日本エリアの全体に散らばるようなカタチで頻発している事がわかります。


注目すべきは発生していない都道府県を探すことよりも、むしろ68回発生したこの線状降水帯がわずか11日間の出来事だったという事でしょう。

線状降水帯の発生状況
日本気象協会では線状降水帯の発生状況を独自に解析しました。(中略) 九州北部、山口、広島、四国南部、大阪湾周辺、近畿北部、岐阜県など多くの地域で線状降水帯が発生しており、その発生数は68回にも及ぶことがわかりました。
日本気象協会:「平成30年7月豪雨」の気象解析(速報)~線状降水帯の発生数は68回~

近年では九州・四国地方での被害が目立つため、線状降水帯が発生する環境が整いやすい梅雨入り~秋頃までは局地的な豪雨による洪水対策を強化しておく必要があります。

線状降水帯の直撃を受けなかったとしても上流で発生していた場合、河川の整備状況によっては氾濫がしやすくなります。

  • 土砂堆積や樹木繁茂など河川の排水能力の低下
  • 支流側の水が逆流してくるバックウォーター現象の発生
  • 過去にも何度か氾濫しているいわゆる”暴れ川”

西日本豪雨で甚大な浸水被害を被った岡山県の真備町はバックウォーター現象が水害の主な原因だと報じられていますが、KSB 瀬戸内海放送がYouTubeで配信している下記動画では「そもそも逆流した支流自体のメンテナンスも悪化していたのでは?」との指摘も見られました。

中洲に生い茂った樹木や堆積した土砂がどれくらい河川の排水能力を低下させたのかまでは定かではありませんが、一般市民のアクションとして河川の治水事業に直接介入する事がでへきません。治水事務所などへ意見したとしても即解消される問題ではないので、自らが洪水や豪雨への警戒を一層高める必要があります

関東でも線状降水帯は発生するのか?

発生します。

というよりも既に発生しており、『平成27年9月関東・東北豪雨』が代表例になるかと思います。鬼怒川の決壊状況を繰り返し報道されていた2015年の豪雨災害です。

この豪雨災害の要因は気象庁の気象研究所でも線状降水帯の発生だと報告されています。

平成27 年9 月関東・東北豪雨の発生要因
~2つの台風からの継続的な暖湿流の流入と多数の線状降水帯の発生~
今年9月9日から10日にかけて関東北部、特に栃木県では最大48時間降水量600ミリを超える大雨が観測されました。この大雨は、台風第18号の東側に存在していたアウターバンドにともなう降雨域が関東地方に移動した後に変化した、幅100~200km の南北に伸びた降雨域の中で発生しました
気象庁 気象研究所 平成27年9月18日発表(※PDF)

近年、線状降水帯と言えば九州一帯や広島付近で頻発している印象を受けますが、大気の状態が線状降水帯の条件を満たせば上記のように場所を問わず発生します。

線状降水帯発生時に対策は打てるのか?

国土交通省のハザードマップで行動範囲の災害リスク予め知っておく事は当然としても、線状降水帯で猛烈な降雨が発生時の問題として、危なそうに感じてからの避難ではとても間に合わない場合が出てきます

例えば2020年、『令和2年7月豪雨』では九州・中部にて線状降水帯による集中豪雨発生しました。大雨特別警報が熊本県や鹿児島県に出たのは7月4日の早朝4時50分ごろです。

参考までにウェザーマップさんがYouTubeにて雨雲レーダーで記録動画を配信されてましたのでぜひ皆様も御覧ください。

この豪雨で多数の死者が出た熊本県球磨村の特別養護老人ホーム「千寿園」は、大雨特別警報が出た4時50分ごろの時点ですでに道路が冠水し、施設の駐車場も水に漬かり始めたと西日本新聞(8月5日付け)が報じています。

下記に福岡管区気象台の資料も合わせ、気象庁の注意報・警報の発表タイミングと、球磨地方で発生した災害を時系列にまとめてみます。

7月3日 17時避難準備・高齢者等避難開始発令
7月3日 21時21時20分、球磨村 土砂災害警報発令
7月3日 23時22時52分、球磨村 洪水警報発令
7月4日 02時02時30分、球磨川 氾濫注意情報
7月4日 03時千寿園職員が入所者の避難を支援
7月4日 03時03時10分、球磨川 氾濫警戒情報
7月4日 04時03時35分、球磨川 氾濫危険情報
7月4日 05時04時50分、大雨特別警報発令
7月4日 06時05時55分、球磨川 氾濫発生情報
7月4日 07時千寿園の1階が水没へ

大雨特別警報とは?
詳しくは「気象庁 防災気象情報と警戒レベルとの対応について」を参照して頂きたいですが、『災害がすでに発生していることを示す警戒レベル5に相当』と説明されており、災害が本格化しつつある状況です。避難行動は警戒レベル4以前で完了すべしとなっています。

朝7時には施設内への浸水とありましたので一般住宅で例えるなら朝起きたら既に1階が水没してるようなイメージになります。「千寿園」は福祉施設であったため、災害当日は夜勤の職員さんがスタンバイしていましたが、一般住宅の場合で1階で寝ていたら下手するとそのまま溺死する可能性すらあります。

球磨川は日本でも有数の急流でハザードマップで確認しても両岸は浸水深が10~20mの予想もある災害リスクが高いエリアでした。

このように災害リスクが高いエリアでは防災グッズでどうこうする…というよりも、避難タイミングがものすごくシビアなため、気象予報への感度を高めることはもちろん、可能な限り安全な避難場所や避難経路の把握など、一般市民には困難さを感じる避難計画を要求されると思います。

線状降水帯による洪水・豪雨対策としては?

災害リスクが高いエリア、今回のように線状降水帯による洪水・豪雨対策においては、「どうやって生き延びるか?」に直結する防災グッズが多めになると思います。

なので市販の防災グッズのセット品に入っている、救急セット、ナイロンロープ、備蓄水、カンパン、簡素な雨具…などではとても対応できません。

浸水対策としての土嚢も、1~2階ごと水没(浸水深5mなど)してしまう災害リスクの高いエリアの前では焼け石に水でしょう。

具体例としては産経新聞のYouTubeチャンネルで配信された人吉市 松屋温泉ビジネスホテル提供の下記動画をご参考ください。球磨川が氾濫した影響で10分・20分で車が浮いてしまうようなレベルの水深になっています。

なので一般市民が手に入れやすい費用で線状降水帯による洪水・豪雨対策として備えるとしたら、水難事故対策としてのライフジャケット(救命胴衣)あたりが有力になるでしょうか。

ライフジャケットの選び方なのですが、自動膨張式だとコンパクトですが二酸化炭素ボンベの予備や落水時のセンサー動作の確認といったメンテが必要だったり、釣具メーカーだと救命胴衣というよりかはスポーツ寄りにデザインされていて高コスト傾向(15,000円以上することもある)でした。

今回はキャプテンスタッグから出ているライフジャケットが小型船舶の法定備品(国土交通省型式承認 桜マーク付き タイプD)にも対応可能な製品が、費用面・性能面でバランスも良さそうでしたのでご紹介しております。

ライフジャケットについては洪水被害だけでなく津波に巻き込まれてしまった場合でも、生存率を高められることが下記の記事中でも紹介した港湾空港技術研究所の実証実験からも明らかになってきています。マリンスポーツなどの趣味がなくとも、ぜひ防災グッズの1つに検討してみてください。

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